7/21/2008

14C machine time


今日から明日にかけて、AMS(加速器質量分析計)の14C(放射性炭素)測定のマシンタイムです。準備した試料をAMSにセットするところから始めて(上の写真)、およそ24時間。今回は、安岡(M1)の試料を測定しています。

試料をセットしたら、管制室でAMSを操作(下の写真)。操作を覚えるのが、新米にはなかなか大変です…。

From today to tomorrow, we have machine-time of the AMS for mesuring radiocarbon. It takes about 24h from setting samples into the AMS (above photo). This time, we are measuring samples of Yasuoka (M1).

After setting the samples, we have controlled the AMS in the control room. It is hard work to understand the oerating steps for freshmen...

7/18/2008

2008年7月17日の加速器研究ゼミ

樹木年輪中のΔ14Cとδ18Oを利用した最終氷期最盛期の太陽活動と気候の復元
Reconstraction of solar activity and climate in LGM using Δ14C and δ18O in tree rings
安岡 亮(M1)

太陽活動の気候への影響の有無を考える事は、地球の気候復元において非常に重要である。太陽活動の強さの変動と気候の変動に相関が見られるとする研究結果もあるが、太陽活動が気候に影響するメカニズムはまだ良くわかっていない。地球に降り注ぐ宇宙線量は、地球磁場と太陽磁場に逆相関なので、太陽の活動周期によって地球に来る宇宙線量は決まってくると言える。そこで宇宙線生成核種である炭素14を使って、逆に宇宙線量から太陽活動周期を調べることができる。すると、太陽黒点が著しく少ない時代(マウンダー極小期, AD1645-1715)においては、通常の周期(11年、22年)とは異なった14年、28年の太陽周期が発見されている。また、グリーンランド氷床コアの酸素18による気温復元値の変動の周期を調べると、マウンダー極小期において14年、28年周期が見られ、その後周期性が回復していたことから、気候の周期も太陽活動の周期と同様に伸縮してことが分かっている。

そこで本研究では、静岡県富士宮市で採取された最終氷期最盛期(LGM)にあたる約19000年前のヒノキの非炭化樹幹の年輪を使って、当時の太陽活動と気候を復元することを目標としている。LGMは現在と比べ非常に寒冷化、乾燥化しており、この時代の「太陽ー気候」関係は他の時代とは異なる関係性を示すことが予想される。このLGMにおいて「太陽ー気候」関係の存在を確認することができれば、約19000年前という昔の時代においてもこの関係は保たれていたことを示せると共に、特異な環境下でも関係が保たれていたことも示すことができる。

今回のセミナーでは、対象時代をLGMにした理由と、樹木年輪中の炭素14と酸素18がどのように太陽活動や気候に関連するかを説明し、この研究の目的と今までに得られた結果について紹介した。今後は炭素14の測定を続けていくと共に、酸素18の測定を始め、LGMの太陽活動と気候の関係を明らかにしていきたいと考えている。

7/16/2008

飲み会!


今日(7/16)は、研究室飲み会@チムニー。
研究室スタッフ&学生に加えて、東北大の高橋先生、宮原博士の旦那さん、Tyler博士の奥さん、Nelson博士の旦那さんも参加しての、賑やかな会でした。
国籍入り乱れての席配置で、会話は主に英語! 学生もつたない英語ながら、頑張りました。
外国の方にとっては、izakayaはちょっと新鮮かも!?

Tonight (7/16), we held a lab's party at the izakaya "Chimney".
It was lively because Dr. Takahashi from Tohoku Univ., the husband of Dr. Miyahara, the wife of Dr. Tyler and the husband of Dr. Nelson joined in the party, in addition to the members of the lab.
The main language was English because of the international seats arrangement! The Japanese students tried to chat, although their English are not so good.
Izakaya might be a bit fresh experience for foreign people!?

7/14/2008

Nelson博士とイギリス土産


イギリス極地研究所(British Antarctic Survey)のAnna Nelson博士が、再来日。Nelson博士は、今年度から研究室の客員研究員でもあります。

先週のランチミーティングに、イギリスのお土産(チョコとクッキー)を持ってきてくれました! 写真の箱は、そのお土産です(チョコ)。

今回の来日は、7/2-20で、次回は9月に来てくれるようです。

7/12/2008

実験風景 - 14C封じ切り



横山研で行われている実験作業の風景を、写真で紹介していきます。

初回は、放射性炭素(14C)の分析の前処理として行う、「石英ガラス管の封じ切り」。試料と試薬が入った石英ガラス管(最初は口が開いています)を、中の空気を抜いて真空にした状態で、管の口を閉じる作業です。ガスバーナーで石英管を熱して、上部と切り離しながら口を閉じます。

ちなみに写真中で作業しているのは、安岡(M1)です。熱せられた石英ガラス管は強い光を発するので、遮光メガネが必要です。


私、山口(M1)は、今日が実は作業するのが初めて。練習5本目でようやく成功しました…。

7/11/2008

2008年7月10日の加速器研究ゼミ

IODP#310で採取されたタヒチ沖のサンゴ化石コア試料の分析による最終氷期の南太平洋の古海洋環境復元
Paleoceanographic reconstructions around Tahiti in the Last Glacialbased on element analysis of fossil coral from IODP#310

原田まりこ(M2)
 
過去や現在の熱帯域の海洋環境を示すより多くのデータを得ることは、気候変動の復元を行う上で大変重要である。2005年秋、最終氷期最盛期(LGM)以降の海水準変動や海洋環境の復元を目的として南太平洋タヒチ沖(南緯17°西経149°)において統合国際深海掘削プロジェクト(IODP)の310番目の航海が実施され、37孔のべ630mのコア掘削試料が得られた。試料はサンゴ化石を含んでおり、本研究ではこのサンゴ化石の酸素同位体比やストロンチウム・カルシウム比、またいくつかの微量元素の測定から海面表層水温(SST)やpHを推定し、また周辺海域の湧昇や河川流入などについて考察することで、古海洋環境の復元を行うことを目的としている。

本研究の分析には大型の塊状群体を形成するため年輪が明瞭で古気候復元に優れているとされるハマサンゴ(Porites spp.)という種のサンゴの化石を用いた。すべてのサンゴ化石について続成をチェックするためXRD測定を行い、変成を受けていないと判明した試料についてのみ加速器質量分析器(AMS)を用いて年代を測定した。酸素同位体比と ICP-AESによるストロンチウム・カルシウム比は、それぞれの試料の成長軸方向に沿って0.4mm毎にマイクロサンプリングを行ったサンプルを測定して得られた。ICP-MSによって測定したバリウム、ウラン、マグネシウム、ストロンチウムそれぞれのカルシウムに対する比は、試料をバルクサンプリングしたものを測定して得たものである。

今回のセミナーでは、主に水温指標となるストロンチウム・カルシウム比とウラン・カルシウム比の測定結果とその考察を紹介した。今後はこれまでの測定(酸素同位体比、ストロンチウム・カルシウム比、バリウム、ウラン)を進めることに加え、ボロンの同位体比からpHを復元することとその測定のための続成のさらに細かいチェックなどをメインに進める。

7/05/2008

Be-10マシンタイム

横山研のメインイベントのひとつである、加速器質量分析 (AMS) のマシンタイムがありました。

ちなみに、今回の測定核種はベリリウム-10 (Be-10) !!

マシンの機嫌も良く、順調に測定を行うことができました。 良かった、良かった。

次回も、マシンの機嫌が良いことを切に祈るばかりです。

プレスリリース!

宮原研究員らの研究成果、「屋久杉を使って1100年前の太陽活動の復元に成功」が、7月4日付けで理学系研究科からプレスリリースされました!

概要:
東京大学大学院理学系研究科の宮原ひろ子日本学術振興会特別研究員と横山祐典講師は、名古屋大学太陽地球環境研究所のグループとともに、屋久杉の分析により今から約1100年前の太陽活動の変動を復元することに成功しました。その結果、気候が暖かかった中世においては太陽の活動が非常に活発であったことが判明しました。一方で、現代における太陽活動度はある程度活発なレベルに分類されるが約1100年前の中世初期ほどではないこともわかりました。このことは、現代の急激な温暖化が、活発な太陽活動のみでは説明できないほど深刻に進行していることを示唆しており、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次評価報告にあるように、現在の温暖化は人為起源の温暖化ガスによるところが大きいことを支持する結果となっています。




時事通信が記事を配信しており、新聞やウェブニュースなど各所で報道されています。

元の論文、"Possible link between multi-decadal climate cycles and periodic reversals of solar magnetic field polarity"(Hiroko Miyahara, Yusuke Yokoyama and Kimiaki Masuda, in press)は、Earth and Planetary Science Lettersに7月中旬に掲載予定です。