7/18/2008

2008年7月17日の加速器研究ゼミ

樹木年輪中のΔ14Cとδ18Oを利用した最終氷期最盛期の太陽活動と気候の復元
Reconstraction of solar activity and climate in LGM using Δ14C and δ18O in tree rings
安岡 亮(M1)

太陽活動の気候への影響の有無を考える事は、地球の気候復元において非常に重要である。太陽活動の強さの変動と気候の変動に相関が見られるとする研究結果もあるが、太陽活動が気候に影響するメカニズムはまだ良くわかっていない。地球に降り注ぐ宇宙線量は、地球磁場と太陽磁場に逆相関なので、太陽の活動周期によって地球に来る宇宙線量は決まってくると言える。そこで宇宙線生成核種である炭素14を使って、逆に宇宙線量から太陽活動周期を調べることができる。すると、太陽黒点が著しく少ない時代(マウンダー極小期, AD1645-1715)においては、通常の周期(11年、22年)とは異なった14年、28年の太陽周期が発見されている。また、グリーンランド氷床コアの酸素18による気温復元値の変動の周期を調べると、マウンダー極小期において14年、28年周期が見られ、その後周期性が回復していたことから、気候の周期も太陽活動の周期と同様に伸縮してことが分かっている。

そこで本研究では、静岡県富士宮市で採取された最終氷期最盛期(LGM)にあたる約19000年前のヒノキの非炭化樹幹の年輪を使って、当時の太陽活動と気候を復元することを目標としている。LGMは現在と比べ非常に寒冷化、乾燥化しており、この時代の「太陽ー気候」関係は他の時代とは異なる関係性を示すことが予想される。このLGMにおいて「太陽ー気候」関係の存在を確認することができれば、約19000年前という昔の時代においてもこの関係は保たれていたことを示せると共に、特異な環境下でも関係が保たれていたことも示すことができる。

今回のセミナーでは、対象時代をLGMにした理由と、樹木年輪中の炭素14と酸素18がどのように太陽活動や気候に関連するかを説明し、この研究の目的と今までに得られた結果について紹介した。今後は炭素14の測定を続けていくと共に、酸素18の測定を始め、LGMの太陽活動と気候の関係を明らかにしていきたいと考えている。