6/21/2010

新着論文紹介(2010/6/8)


Science 4 June 2010 , volume 328
1. Freshwater Outburst from Lake Superior as a Trigger for the Cold Event 9300 Years Ago
Shi-Yong Yu, Steven M. Colman, Thomas V. Lowell, Glenn A. Milne, Timothy G. Fisher, Andy Breckenridge, Matthew Boyd, James T. Teller
 Superior湖は氷の溶けた水が海に流出するのを規制する場所にある。今から9300年前に、その溶け水がたまっていたところで決壊が起こっていたことが分かり、9300年前の広範囲での異常気象がこの原因であると考察した。

2. Fractal Organic Hazes Provided an Ultraviolet Shield for Early Earth
E. T. Wolf and O. B. Toon
 太古代のとき地球はもやで覆われていたと考えられているが、そのもやのフラクタルな構造が紫外線は通さず、可視光は通すということに影響を与えていることが分かった。
(フラクタル→どんな細部をみても全体と同じ構造が現れる図形)

Nature 3 June 2010 volume 465
3. Shaping mobile belts by small-scale convection
Claudio Faccenna and Thorsten W. Becker
 最新の高分解能地震波測定にもとづいた地球規模のマントルの流れをシュミレーションしたところ、マントルの流れが観測されている地形やある範囲内での小さなプレートの動きに制約を加えられることが分かった。

Nature Geoscience June 2010 volume 3
4. Increased fire activity at the Triassic / Jurassic boundary in Greenland due to climate-driven floral change
Claire M. Belcher, Luke Mander, Guillermo Rein, Freddy X. Jervis, Matthew Haworth, Stephen P. Hesselbo, Ian J. Glasspool and Jennifer C. McElwain
 三畳紀とジュラ紀の境界において火事が頻繁に起こっていたことを明らかにするため、グリーンランド東の植生化石を使って古生物の再現を行った。ジュラ紀初期の層に木炭の化石が豊富な層が見つかったことなどから、この時期に雷が多く発生していたと考察した。

5. Late-twentieth-century warming in Lake Tanganyika unprecedented since AD 500
Jessica E. Tierney, Marc T. Mayes, Natacha Meyer, Christopher Johnson, Peter W. Swarzenski, Andrew S. Cohen and James M. Rusell
 タンザニア湖の堆積物コアを使って、湖の表面温度を再現したところ、温度と生物生産に負の相関があることが分かった。

6. Effect of nutrient availability on marine origination rates throughout the
 Phanerozoic eon
Andres L. Cardenas and Peter J. Harries
 顕正代における環境状態の記録と地球規模の海での生物発生率との関係を評価したところ、発生率の変化と大陸天気の多様性、リンの循環には正の相関があり、発生率の多様性と海水準変動には負の相関があることが分かった。

GEOLOGY June 2010, volume 38
7. Northward intrusions of low- and mid- latitude storms across the Saharo-Arabian belt during past interglacial’s
Nicolas Waldmann, Adi Torfstein and Mordechai Stein
 低・中緯度域での南からの風が、結果的に紅海から死海付近での人の移動に影響を及ぼしていた可能性があることが分かった。

8. Detrital zircons from fluvial Jurassic strata of the Michigan basin: Implications for the transcontinental Jurassic paleoriver hypothesis
William R. Dickinson, George E. Gehrels and John E. Marzolf
 砕岩質のジルコンのデータは、大陸をまたがるジュラ紀の河川システムの北側の支流の近くで岩屑等が堆積し、イオニア地方が形成されたという仮説と相性が良いことが分かった。


担当:M1 坂下 渉