1/17/2013

新着論文(AGU, EGUほか)2013.1.7 - 13

☆AGU★
○G3
特になし

GRL
Contribution of ocean current to the increase in N abundance in the Northwestern Pacific marginal seas
Seung-Kyu Kim, Kyung-Il Chang, Bongguk Kim, Yang-Ki Cho

Eddy Impacts on the Florida Current
E. Frajka-Williams, W. E. Johns, C. S. Meinen, L. M. Beal, S. A. Cunningham

Meridional movement of wind anomalies during ENSO events and their role in event termination
Shayne McGregor, Nandini Ramesh, Paul Spence, Matthew H. England, Michael J. McPhaden, Agus Santoso

A fractal-based approach to lake size distributions
David A. Seekell, Michael L. Pace, Lars J. Tranvik, Charles Verpoorter

JGR-Oceans
Global teleconnections in the oceanic 1 phosphorus cycle: patterns, paths, and 2 timescales
Mark Holzer, François W. Primeau
シンプルな気候モデルを用いて南大洋の栄養塩(特にリン)サイクルが全球の海洋のリン濃度や生物生産に与える影響を評価。南大洋の栄養塩サイクルの影響が遠くは北大西洋まで及ぶ(南大洋のリン消費→深層水による輸送増大→北大西洋の生物生産減少)。

Paleoceanography
今回は発行なし

EGU
Climate of the Past
Stalagmite water content as a proxy for drip water supply in tropical and subtropical areas
N. Vogel, Y. Scheidegger, M. S. Brennwald, D. Fleitmann, S. Figura, R. Wieler, and R. Kipfer
イエメン(Yemen)から得られた2本の完新世の石筍と最終間氷期の1本の石筍の単位質量あたりの水分量がδ18Oとの相関が良く、降水量のプロキシになる可能性があることを示す。δ18Oの低下と滴下水の低下は陸上の降水量の低下と関係していると考えられる。逆に滴下水の増加は密なカルサイトを形成するため、水が入り込む余地を減らすと考えられる。特に乾燥地域では差が顕著になるため、プロキシになるかも?

Influence of orbital forcing and solar activity on water isotopes in precipitation during the mid- and late Holocene
S. Dietrich, M. Werner, T. Spangehl, and G. Lohmann
ドイツの鍾乳石δ18Oをもとに中期完新世以降の軌道要素と太陽活動が降水のδ18Oに与えた影響をモデルシミュレーションを用いて評価。両方のフォーシングが気温と降水δ18Oの両方に同程度の影響を与えていることが示された。

Long-term summer sunshine/moisture stress reconstruction from tree-ring widths from Bosnia and Herzegovina
S. Poljanšek, A. Ceglar, and T. Levanič
ボスニア・ヘルツェゴビナ(Bosnia and Herzegovina)で得られた7本のblack pineの木の年輪幅データを用いて夏の日射を復元。夏の日射は水ストレスを生み、それが年輪幅に影響すると考えられる。1660年以降の記録における異常に日射が低い夏は火山噴火があった年に対応している。

Biogeosciences
Nitrogen isotopes in bulk marine sediment: linking seafloor observations with subseafloor records
J.-E. Tesdal, E. D. Galbraith, and M. Kienast
δ15Nは窒素循環を復元するのに重要なプロキシとなっているが、窒素は堆積物中で様々な状態で存在し(不均質)、続成作用なども被る。Plioceneから現在までに相当する世界各地の堆積物中のバルクδ15Nが初期のδ15Nを正しく保持しているかどうかを評価。表層5000年以下の堆積物δ15Nは周辺の堆積物との相関が良いが、一方で深部ほど続成作用によって影響を被っていることが分かった。続成作用や適さない海域・深度などをより理解することで確かなプロキシとなる。

Rates of consumption of atmospheric CO2 through the weathering of loess during the next 100 yr of climate change
Y. Goddéris, S. L. Brantley, L. M. François, J. Schott, D. Pollard, M. Déqué, and M. Dury
Peoria loessが今後100年間(700ppmまで上昇すると仮定)にどれほど風化し、CO2を吸収し得るかをモデルシミュレーション。「温度」と「河川流出量」が重要な因子であることが示された。温度上昇で土壌呼吸も増加するが、総じてケイ質岩の風化は増加することが示された。逆に(CO2をよく吸収する)ドロマイトの風化は低下することが示された。ドロマイトの風化は地下の深度によっても異なる応答を示し、場所ごとに違った挙動をする(陸上のリソクライン)。

Temporal biomass dynamics of an Arctic plankton bloom in response to increasing levels of atmospheric carbon dioxide
K. G. Schulz, R. G. J. Bellerby, C. P. D. Brussaard, J. Büdenbender, J. Czerny, A. Engel, M. Fischer, S. Koch-Klavsen, S. A. Krug, S. Lischka, A. Ludwig, M. Meyerhöfer, G. Nondal, A. Silyakova, A. Stuhr, and U. Riebesell
ノルウェー沖で行われたEPOCAによる野外におけるCO2添加実験の結果について。CO2濃度を185から1420μatmまで人工的に上昇させ、プランクトンがどのように応答するかを調査。第一段階では栄養塩なしで行われ、CO2による大きな差は生まれなかった。第2段階では栄養塩が添加され、CO2濃度が高いほどバイオマスが増加することが示された。そしてその後の第3段階では傾向が逆転した。時間の経過とともに「栄養塩利用」「粒子状有機物量」「植物プランクトンの種組成」などに有為な変化が見られるようになった。様々な要因が絡み合って将来の有機物の流れや生産性を決定すると考えられる。

Effect of elevated CO2 on the dynamics of particle-attached and free-living bacterioplankton communities in an Arctic fjord
M. Sperling, J. Piontek, G. Gerdts, A. Wichels, H. Schunck, A.-S. Roy, J. La Roche, J. Gilbert, J. I. Nissimov, L. Bittner, S. Romac, U. Riebesell, and A. Engel
スバルバード(Svalbard)沖で行われたEPOCAによる野外におけるCO2添加実験の結果について。CO2濃度を185から1050μatmまで人工的に上昇させ、バクテリア・プランクトンがどのように応答するかを調査。比較的低いのCO2濃度(185 - 685μatm)の時にピコ植物プランクトンのブルーミングが崩壊し、粒子に付着する生物のband classの数が25%低下することが分かった。一方バクテリアによるタンパク質合成はCO2濃度が高いほど強化され、プラスの効果をもつことが示された。

GSA
GSA Bulletin
今回は発行なし