phD最後の実験となる(予定の)、鹿児島県喜界島で採取された長尺ハマサンゴのミリングを行いました。
僕の専門はサンゴ骨格のホウ素同位体分析(海水のpHを復元することが可能)で、最近は産業革命(1750年頃)以降の海洋酸性化をターゲットに研究を行っています。
過去100年ほどのおおまかな変動を見るために、約3年の成長部分(環境記録)が平均化されたバルク試料を用意しました。
GEOMILL326とブラックライト |
ちょっと前に研究室に導入されたGEOMILL326を改良し、サンゴ骨格のミリングにチャレンジしました。
研究室のものにはオプションの大型試料用ステージが取り付けられています。
ドリルビットはホームセンターで購入した「2.3mm径の鉄工用ドリル」。回転数は2,000 rpm。切削深度は2mm。
今回は、LA-ICPMS測定に既に使用された、細かいピースを使用しました。
ブラックライト下のサンゴ試料。縞縞が見える |
実験室を暗くし、ブラックライトでサンゴの縞縞を確認しながら、3年分を見極め、削り出していきます。
(ちなみに、GEMILL326のオプションとしてブラックライトも装備される予定で、現在開発中だそうです)
サンゴの下に薬包紙を敷いて、削り粉を全て回収します。
得られる粉は比較的細粒(fine)です。標準物質JCp-1と同じくらい。
今後の課題はサンゴ骨格をうまく作業台に固定することでしょうか。
耳石や鍾乳石などの薄片試料は両面テープなどで固定できるのですが、サンゴは多孔質のため薄片にするのは大変です。しかもテープを直接貼るとサンゴ表面が汚れてしまうので、今回は試料を固定せずに、手で動かして削りました。
裁縫で使うミシンに似た感じですね。
ブラックライトはサンゴだけでなく、自分が着ている白衣も怪しく光らせます。
なんだか自分がマッドサイエンティストになったような気分になりましたw