8/23/2009

新着論文紹介(09/8/18分)(Nature,Nature Geoscience,PNAS)

Nature
13 August 2009
Volume 460 Number 7257

Atlantic hurricanes and climate over the past 1,500 years
Michael E. Mann, Jonathan D. Woodruff, Jeffrey P. Donnelly & Zhihua Zhang
doi:10.1038/nature08219
過去十年間の熱帯大西洋におけるサイクロンの活動は異常なレベルにあるが、実際にその信憑性や重要性についてはまだ議論が続いている。この論文では、地上の堆積物から復元したハリケーンの記録と過去に出された統計的なモデルの2つを用いて1500年にわたるハリケーンと近年の活動を比較した。その結果、中世(およそAD1000)
において、現在と同じかそれ以上のハリケーン活動の極大期があったことが示唆された。

Glacial effects limiting mountain height
D. L. Egholm, S. B. Nielsen, V. K. Pedersen & J.-E. Lesemann
doi:10.1038/nature08263
山岳の高度はテクトニックな隆起と表面の浸食のバランスによってコントロールされている。この論文では、そういったテクトニックな動きよりもむしろローカルな気候の違いが山脈の高度を支配しているということを示唆していて、その高度の制限要素として氷河の影響について述べている。

Nature Geoscience
August 2009 - Vol 2 No 8

Carbon dioxide forcing alone in sufficient to explain
Palaeocene–Eocene Thermal Maximum warming

Richard E. Zeebe1*, James C. Zachos2 and Gerald R. Dickens3

Palaeocene–Eocene Thermal Maximum(およそ55Myr前)の話。この時期は、将来の気候システムやフィードバック機構を考える上で、有用な時期だと考えられている。この論文では、この時期における、温度上昇が、二酸化炭素の増加だけでは説明不可能で、その他に何らかの現在まだわかっていないフィードバック機構が働いていたことを示唆している。

Formation of mega-scale glacial lineations observed beneath a West Antarctic ice stream
E. C. King1*, R. C. A. Hindmarsh1 and C. R. Stokes2
アイスストリームの話。レーダーのデータから西南極のアイスストリームの下にメガスケールのglacial lineationsが存在していることが示唆された。

Asian dust transported one full circuit around the globe
Itsushi Uno1*, Kenta Eguchi2, Keiya Yumimoto1, Toshihiko Takemura1, Atsushi Shimizu3, Mitsuo Uematsu4, Zhaoyan Liu5, ZifaWang6, Yukari Hara3 and Nobuo Sugimoto3
ダストの話。アジア起源のダストは太平洋を超えて、グリーンランドアイスコアやフランスのアルプス山脈まで運ばれていることが報告されている。この論文では、2007年5月のタクラマカン砂漠におけるストームによって生じたダストの輸送をモデルを使って、マップ化した。その結果、ダストは対流圏の上層を地球1周程度した後、海洋に取り込まれて栄養塩レベルを上昇させたり、高緯度の雲中では氷の核として働くことによって、グローバルな放射のバジェットに影響を与えていることが示唆された。

Constraints on future sea-level rise from past sea-level change
Mark Siddall1*(, Thomas F. Stocker2 and Peter U. Clark3
温暖化に対する将来の海水準の予測は、温暖化に対するグリーンランドと南極の応答が完全に明らかになっていないために、難しい。しかしながら、過去の化石などから、過去22000年間の最終氷期から完新世温暖期を含む海水準が復元されている。そこで、この論文では温度変化に対する海水準の応答をシンプルなモデルを用いて、予測した。その結果、21世紀中に4-24cmの海水準の上昇が示唆された。これはIPCC第4次報告書とも整合的である。

Lightning-induced reduction of phosphorus oxidation state
Matthew Pasek1,2* and Kristin Block1

Considerable methane fluxes to the atmosphere from hydrocarbon seeps in the Gulf of Mexico
Evan A. Solomon1*, Miriam Kastner1, Ian R. MacDonald2 and Ira Leifer3

PNAS
August 11, 2009; 106 (32)
Geology
Climate directly influences Eocene mammal faunal
dynamics in North America

Michael O. Woodburnea,1, Gregg F. Gunnellb, and Richard K. Stuckyc


Mineralogical constraints on the paleoenvironments
of the Ediacaran Doushantuo Formation

Thomas F. Bristowa,1, Martin J. Kennedya, Arkadiusz Derkowskia, Mary L. Drosera, Ganqing Jiangb,
and Robert A. Creaserc