皆さんこんにちは。事務補佐員の柴辻です。
もうお読みになった方も多いと思いますが、奄美医科研の元准教授、服部正策先生のご著書を紹介したいと思います。服部先生には横山研もハブの歯その他でお世話になっています。
最初、私はこのタイトルを見て「そのままやん?」と驚いたのですが、読み終わると「先生の思いがこめられた、ぴったりなタイトルなのだ」と感心しました。ちなみに新潮社のこの本、表紙も魅力的なので、何というデザイナーかと思って奥付を見ると「イラストなどすべて著者」ということでした。服部先生すごいですね。
言うまでもなく、本の内容はどこを読んでもおもしろいです。ハブに関する詳しいお話から、奄美の自然や文化、環境保護についてまで。なかでも「私とハブとの仁義なき二十年戦争」は圧巻です。読んでいてふと、宮沢賢治の「なめとこ山の熊」に出てくる猟師と熊の関係を思い出してしまいました。まあ、ちょっと違うかもしれません。
幻の黒糖焼酎「瀬戸の灘」の話にはもっと感銘を受けました。寝かせば寝かせるほどおいしくなる、そんな紹興酒みたいな焼酎があったなんて・・と夢のように想像してしまいました。
ところが最近、中国の食べ物について調べていたところ、こんな記事を発見しました。それは「中国の蒸留酒“白酒”は瓶で保管しておくだけでおいしくなる。瓶熟成?」というものです。沖縄の泡盛でも同じようなことがあるらしいです。これは、白酒や泡盛のなかに熟成にかかわる油分が含まれているためだとか。昔の「瀬戸の灘」が瓶で熟成したのもこの油分のせいかもしれません。ボロボロの酒蔵がきれいに生まれ変わって失われた味・・・私の故郷、天下の「灘五郷」も昭和の時代にオートメーション化されました。当時学校の先生なんかは、「オートメ化されて温度管理が正確になって昔より良い酒が作れるようになったのだ」と胸をはって教えていました。本当にそうだったら良いのですが。
奄美に話を戻すと、請島のウケユリは私の今後の目標の一つになりそうです。私はこれまで何も下調べなし、ついて歩くだけという山歩きをしてきたので、地味な高山植物の花の名前を覚えるのも苦手です。ですが、ユリ科の花なら好きだし、名前に地名がついている花を本場で見るのは格別なもの。元気なうちにぜひ目標を持って加計呂麻島から請島まで遊びに行きたい、と思うようになりました。
環境保護についても、よくわからぬままに悲観的になる一方でしたが、服部先生のくつろいだお考えに「そういうこともあるのか」とほっとし、もっと勉強したいと思いました。
養老先生も最後「解説」で書いておられるように、この本はたくさんの人に読んでいただきたい一冊です。