7/31/2012

新着論文紹介(Nature, Science, PNAS) 2012/07/24




Nature
[NEWS & VIEWS]
1. Biogeochemistry: The great iron dump
Nature 487, 305–306 (19 July 2012) doi:10.1038/487305a
   Ken O. Buesseler

[ARTICLES]
2. Deep carbon export from a Southern Ocean iron-fertilized diatom bloom
Nature 487, 313–319 (19 July 2012) doi:10.1038/nature11229
  Victor Smetacek, Christine Klaas, Volker H. Strass, Philipp Assmy, Marina Montresor+ et al.
 鉄仮説について。鉄肥沃化による珪藻類の大増殖は、海洋底層水では数百年の時間スケール、堆積物中ではそれよりも長時間のスケールで、炭素を隔離する可能性がある。

[letters]
3. Solid–liquid iron partitioning in Earth’s deep mantle
  Nature 487, 354–357 (19 July 2012) doi:10.1038/nature11294
   Denis Andrault, Sylvain Petitgirard, Giacomo Lo Nigro, Jean-Luc Devidal,,  Giulia Veronesi+ et al.

Science
[News Focus]
4. The Ingredients for a 4000-Year-Old Proto-Curry
  Science 20 July 2012: Vol. 337 no. 6092 p. 288 , DOI: 10.1126/science.337.6092.288-a
  Andrew Lawler
 インダス文明のときのカレーは、現在食べられているカレーとほとんど変わらないらしい。

5. Diving Into the Indian Ocean’s Past
  Science 20 July 2012:  Vol. 337 no. 6092 pp. 288-289 ,DOI: 10.1126/science.337.6092.288-b
  Andrew Lawler
 インド洋で最も古いと思われている難破船の調査を行った。放射性炭素年代測定によると、紀元前2世紀〜1世紀のもの。この地域の、この時代の航海についての新たな理解が得られることが期待される。
 
6. Persians Made the Afghan Desert Bloom
  Science 20 July 2012: Vol. 337 no. 6092 p. 289 ,DOI: 10.1126/science.337.6092.289
  Andrew Lawler
 中央北西部のアフガンでは,2500年前に感慨技術がすでにあり、荒涼とした地域で、水に囲まれた定住地がMazar-i-Sharifの西部と北部にあった、ということが最近発見された。

[Research Articles]
7.  2.8 Million Years of Arctic Climate Change from Lake El’gygytgyn, NE Russia
     Science 20 July 2012: Vol. 337 no. 6092 pp. 315-320 ,DOI: 10.1126/science.1222135
     Martin Melles, Julie Brigham-Grette, Pavel S. Minyuk, Norbert R. Nowaczyk, Volker Wennrich, Robert M. DeConto, Patricia     M. Anderson, Andrei A. Andreev, Anthony Coletti, Timothy L. Cook, Eeva Haltia-Hovi, Maaret Kukkonen, Anatoli V. Lozhkin, Peter Rosén6, Pavel Tarasov, Hendrik Vogel1, Bernd Wagner

[Report]
8. Sulfate Burial Constraints on the Phanerozoic Sulfur Cycle
   Itay Halevy, Shanan E. Peters, Woodward W. Fischer
   Science 20 July 2012: Vol. 337 no. 6092 pp. 331-334 ,DOI: 10.1126/science.1220224

9. Rapid Variability of Seawater Chemistry Over the Past 130 Million Years
   Science 20 July 2012: Vol. 337 no. 6092 pp. 334-336 ,DOI: 10.1126/science.1220656
    Ulrich G. Wortmann, dina Paytan

PNAS
Sciences
1,500 year quantitative reconstruction of winter precipitation in the Pacific Northwest

Byron A. Steinmana,1,2, Mark B. Abbotta, Michael E. Mannb, Nathan D. Stansellc, and Bruce P. Finneyd
PNAS July 17, 2012 vol. 109 no. 29 11619–11623
 湖底堆積物の酸素同位体データの、物理的モデルに基づいた分析を行って、太平洋北西部の1500年間の冬の降水量の記録の復元をした。しかし、どういうわけか、木の年輪から復元した干ばつの記録とは一致しない。この二つのプロキシの季節的センシティビティの違いの理解をすることで、100年スケールでの気候予測傾向の差異を説明できるようになるだろう。

7/30/2012

新着論文紹介 This Week’s New Papers (2012/7/31) AGU, EGU

☆AGU★ (23 July 2012 - 29 July 2012)

○G3
特になし

○GRL
Bio-physical coupling and ocean dynamics in the central equatorial Indian Ocean during 2006 Indian Ocean Dipole
Prasanna Kumar, S., T. Divya David, P. Byju, J. Narvekar, K. Yoneyama, N. Nakatani, A. Ishida, T. Horii, Y. Masumoto, and K. Mizuno

Punctuated global tropical cyclone activity over the past 5,000 years
Nott, J., and A. Forsyth
北半球の各地域において残っているoverwashから過去5,000年間の台風の頻度を復元。3,000-5,000年前にかけて全球的に頻度が上昇していた。また100年-1,000年の周期で盛衰を繰り返していた。

Sensitivity of peatland carbon loss to organic matter quality
Leifeld, J., M. Steffens, and A. Galego-Sala
泥炭地には大量の有機物が眠っており、水収支の変化や気候変動によってこれらの有機物が失われることが危惧されている。泥炭地では分解されやすい有機物が先に分解され、逆に分解されにくいものが後に残るため、深度方向に有機物の質が変化する。特に酸素に富んだ表層に泥炭地の深部の有機物が触れると分解が促進される。スイスの6カ所の泥炭地で4mほどの堆積物コアを採取し、有機物量や元素組成などを分析。泥炭地の土壌呼吸は泥炭の質と多糖類の量によってコントロールされているらしい。

Sea surface temperature variability in southern Okinawa Trough during last 2700 years
Wu, W., W. Tan, L. Zhou, H. Yang, and Y. Xu

Extratropical modulation on Asian summer monsoon at precessional bands
Wang, Y., Z. Jian, and P. Zhao

Regional biases in absolute sea-level estimates from tide gauge data due to residual unmodeled vertical land movement
King, M. A., M. Keshin, P. L. Whitehouse, I. D. Thomas, G. Milne, and R. E. M. Riva

Impacts of non-canonical El Niño patterns on Atlantic hurricane activity
Larson, S., S.-K. Lee, C. Wang, E.-S. Chung, and D. Enfield
通常と異なるエルニーニョ(El Niño Modoki, positive phase Trans-Niño, and positive phase Pacific meridional mode)が大西洋の台風発生域の風の鉛直シアに与える影響を評価。通常のエルニーニョは大西洋の台風の活動度を抑える効果があるが、逆に通常と異なるエルニーニョはあまり大西洋には影響しないことが分かった。台風の成長には対流圏の加熱が必要であるが、それほど大きな加熱は起こせないらしい。近年通常と異なるエルニーニョの出現頻度が上昇しており、この傾向が続けばエルニーニョによる台風の抑制効果が失われ、大西洋の台風発生域のSSTがより重要な台風の発生要因になると考えられる。

Evidence for El Niño–Southern Oscillation (ENSO) influence on Arctic CO interannual variability through biomass burning emissions
Monks, S. A., S. R. Arnold, and M. P. Chipperfield
北極域の一酸化炭素の年変動をもたらすメカニズムを明らかにするために、化学輸送モデルを用いてシミュレーションを行ったところ、バイオマスの燃焼が最も支配的な駆動力であることが分かった。また一酸化炭素の変動はENSOとも有為に相関しており、火災の発生頻度にENSOが影響していることが原因として考えられる。アラスカ、カナダ、シベリア北東部が主なソースとなっているらしい。ENSOがこれらの地域の冬と春の降水量に影響していると考えられる。

The effect and correction of aerosol forward scattering on retrieval of aerosol optical depth from Sun photometer measurements
Zhao, F., Y. Tan, Z. Li, and C. Gai
エアロゾルの光学的な厚さを測定するために太陽光度計が用いられている。大気の前方散乱の影響を調べたところ、ほとんどの場合無視できる程度の寄与であることが分かった。しかし、ダストが多い際には光学的厚さの見積もりは大きく変化してしまい、補正をする必要がある。

○JGR-Oceans
Hypoxia in the Lower St. Lawrence Estuary: How physics controls spatial patterns
Lefort, S., Y. Gratton, A. Mucci, I. Dadou, and D. Gilbert

Response of the equatorial basin-wide SST to non-breaking surface wave-induced mixing in a climate model: An amendment to tropical bias
Song, Z., F. Qiao, and Y. Song

The Makassar Strait throughflow and its jet
Mayer, B., and P. E. Damm

Abnormal upwelling and chlorophyll-a concentration off South Vietnam in summer 2007
Liu, X., J. Wang, X. Cheng, and Y. Du


○Paleoceanography
Response of the North American monsoon to regional changes in ocean surface temperature
Barron, J. A., S. E. Metcalfe, and J. A. Addison
先行研究のモデルシミュレーションと間接指標の記録から、8ka頃から北アメリカモンスーンが7−9月に起きることが知られており、原因は北半球の日射量の変化であると考えられている。カリフォルニア沖で採取された堆積物コアから復元されたSSTは8ka頃までは低く、湿度を北アメリカモンスーン地域にもたらすほどの影響力を持っていなかった。またバハ・カリフォルニアの湧昇は7.5ka頃から強化されており、この頃から気候レジームが変化したことを示唆している。アメリカ南西部の降水の指標(湖、植生・花粉、鍾乳石)はこの仮説を支持している。

○Global Biogeochemical Cycles
CO2 semiannual oscillation in the middle troposphere and at the surface
Jiang, X., M. T. Chahine, Q. Li, M. Liang, E. T. Olsen, L. L. Chen, J. Wang, and Y. L. Yung
対流圏中層と表層において二酸化炭素濃度の準-年変動が見られた。化学輸送モデルを用いて変動の要因を調べたところ、表層の二酸化炭素濃度がシグナルの原因で、生物圏と大気との二酸化炭素交換が大元の原因であることが分かった。モデルによるシミュレーション結果と航空観測によって得られた熱帯域の対流圏中層の二酸化炭素濃度とは良い一致を見せた。

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☆EGU★ (23 July 2012 - 29 July 2012)
○Climate of the Past
Tightened constraints on the time-lag between Antarctic temperature and CO2 during the last deglaciation
J. B. Pedro, S. O. Rasmussen, and T. D. van Ommen
南極アイスコアは南極の気温と大気中の二酸化炭素濃度が氷期間氷期サイクルのうち少なくとも過去80万年間は非常に良く相関していることを明瞭に示している。この関係に関与している物理プロセスを理解するために、両者の時間的な差異を明らかにすることが重要である。最終退氷期には南極の気温が10℃、二酸化炭素濃度が80ppm上昇している。非常に高精度に年代決定がなされている5つの沿岸に近い地域のアイスコアと2つのアイスコアから、二酸化炭素濃度の上昇は南極の気温上昇に対して少なくとも’400年’遅れていることを示す。ただし、二酸化炭素が先行している可能性も否定しきれない。1,000年程度の遅れを認めていた先行研究に比べて、より遅れが少ないことが分かった。

○Biogeosciences
Role of sediment denitrification in water column oxygen dynamics: comparison of the North American East and West Coasts
L. Bianucci, K. Fennel, and K. L. Denman
人為起源・自然起源の貧酸素状態は生態系に大きく影響し、海水中の酸素濃度のダイナミクスを理解することは重要である。物理・生物モデルシミュレーションを用いて大陸棚において堆積物の脱窒が低層水の酸素濃度に与える影響を評価。堆積物中の脱窒に伴い、生物が利用可能な窒素濃度の低下が生じ、一次生産は低下する。一次生産の低下と海底への有機物の堆積が減少すると堆積物中の酸素消費が抑えられ、低層水の酸素濃度は上昇する。しかしバンクーバー大陸棚においては夏の湧昇が効果的に新しい栄養塩をもたらすため、この大陸棚においては脱窒が一次生産に与える影響はそれほど大きくない。大陸棚の酸素ダイナミクスに着目したモデル実験では堆積物中の脱窒をモデルに組み込むことを推奨する。

High-resolution mapping of forest carbon stocks in the Colombian Amazon
G. P. Asner, J. K. Clark, J. Mascaro, G. A. Galindo García, K. D. Chadwick, D. A. Navarrete Encinales, G. Paez-Acosta, E. Cabrera Montenegro, T. Kennedy-Bowdoin, Á. Duque, A. Balaji, P. von Hildebrand, L. Maatoug, J. F. Phillips Bernal, A. P. Yepes Quintero, D. E. Knapp, M. C. García Dávila, J. Jacobson, and M. F. Ordóñez

A high-resolution record of carbon accumulation rates during boreal peatland initiation
I. F. Pendea and G. L. Chmura
北半球の泥炭地は炭素の吸収源として機能しており、気候に対してフィードバックを持っていると考えられる。10-7kaの二酸化炭素濃度の低下は温暖な気候に依って生物生産が増加した結果、泥炭地の炭素集積が増加したために生じたとも考えられている。他にも湖の形成や海岸の露出によって泥炭地の面積そのものが増加したことも寄与していた可能性がある。ケベックのJames湾は氷期の氷床解放後のリバウンドによって隆起している。ここ70年間にsalt marshから沼へと変化した地域の堆積物コアから非常に高時間解像度の記録を得、10年スケールの変動を復元した。炭素の埋没速度は非常に大きく、通常の泥炭地の6倍程度であった。Holocene初期の氷床解放リバウンドによって新しくできた泥炭地が部分的に二酸化炭素のフラックスに寄与していた可能性がある。将来の海水準上昇によってこの湿地面積の増加が抑制されることで、炭素固定能力は低下するかもしれない。

New insights on the role of organic speciation in the biogeochemical cycle of dissolved cobalt in the southeastern Atlantic and the Southern Ocean
J. Bown, M. Boye, and D. M. Nelson

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☆GSA★
○GSA Bulletin
今回は発行なし

7/26/2012

横山先生、古河第一小学校に出張授業

去る6月6日に、横山先生は茨城県の古河市立古河第一小学校にアウトリーチ活動の一環として出張授業に行かれました。

恐竜が住んでいた中生代から現在まで、いろいろなトピックを交えながら気候変動について説明したそうです。




授業風景。

地球温暖化について説明する横山先生。

真剣にメモを取る生徒。偉い!


対象が小学校5年生ということで、ちゃんと伝わるかと心配だったそうですが、後で送ってもらった感想文によると、みんな興味を持って聞いてくれていたようです。

中には「理科が好きになった」などと言ってくれているものもあり、地道な活動の大切さを実感されたとのことです。



特に「恐竜のゲップに含まれるメタンが地球を暖めたかもしれない」という話に生徒はとても興味を持ったらしいです。
次の授業では「人間がマンモスを狩ったせいでメタンの濃度が下がった」という話もする予定!?

授業後の感想文の例(その1)

授業後の感想文の例(その2)

7/24/2012

新着論文紹介 This Week’s New Papers (2012/7/24) AGU, EGU


Geophysical Research Letters 2012/7/16-22

Watanabe, M. and A. T. Wittenberg
Geophys. Res. Lett., 39, L14702, doi:10.1029/2012GL052013. published 21 July 2012.


Journal of Geophysical Research - Oceans2012/7/16-22

Liu, C., and L. Wu
J. Geophys. Res., 117, C07009, doi:10.1029/2011JC007755. published 18 July 2012.

Wu, C.-R., and Y.-C. Hsin
J. Geophys. Res., 117, C07015, doi:10.1029/2012JC007968.
→黒潮が南シナ海に侵入するメカニズムについて、数値モデルで調べた。台湾南西沖の風が重要らしい。


Global Biogeochemical Cycles 2012/7/16-22

Rijkenberg, M. J. A., S. Steigenberger, C. F. Powell, H. van Haren, M. D. Patey, A. R. Baker, and E. P. Achterberg
Global Biogeochem. Cycles, 26, GB3004, doi:10.1029/2011GB004264.
→北大西洋の熱帯東部地域の溶存鉄の供給源。サハラ砂漠からのダストよりも、大陸棚堆積物からのフラックスや、有機物無機化で生成された溶存鉄の中深層からのフラックスが大きいらしい。


Paleoceanography  2012/7/16-22

Schmidt, M. W., W. A. Weinlein, F. Marcantonio, and J. Lynch-Stieglitz
Paleoceanography, 27, PA3204, doi:10.1029/2012PA002284.
Florida Straitsの堆積物の浮遊性有孔虫のMg/Ca比と酸素同位体組成から、完新世のSSTSSSを復元。前期完新世でSSSに太陽活動の影響が見える?

Moyer, R. P., A. G. Grottoli, and J. W. Olesik
Paleoceanography, 27, PA3205, doi:10.1029/2011PA002249.
→カリブ海プエルトリコのサンゴの56年分の微量元素組成と安定&放射性炭素同位体組成。陸源物質供給の復元に使えそうらしい。



Climate of the Past  2012/7/16-22

Liu, J., Song, M., Hu, Y., and Ren, X.
Clim. Past, 8, 1169-1175, doi:10.5194/cp-8-1169-2012, 2012.
1871-2008年からのハドレー循環の強度や幅の変動を、再解析データから調べた。ハドレー循環は最近30年間で強くなっていると最近言われているけれど、長期的にはそれ以上の振幅で変動しているらしい。

Melton, J. R., Schaefer, H., and Whiticar, M. J.
Clim. Past, 8, 1177-1197, doi:10.5194/cp-8-1177-2012, 2012.
Younger Dryas終焉と同期したメタン濃度上昇について、グリーンランドのアイスコアで高時間解像度にメタンの安定炭素同位体組成分析。水素や放射性炭素も入れて同位体マスバランス計算すると、バイオマス燃焼が供給源として半分近くを占めるらしい。従来説の熱帯湿地や海洋ガスハイドレートはあまり寄与していなかったらしい。


Biogeoscience  2012/7/16-22

Kraal, P., Slomp, C. P., Reed, D. C., Reichart, G.-J., and Poulton, S. W.
Biogeosciences, 9, 2603-2624, doi:10.5194/bg-9-2603-2012, 2012.

Bates, N. R.
Biogeosciences, 9, 2649-2659, doi:10.5194/bg-9-2649-2012, 2012.
→北大西洋亜熱帯モード水による大気CO2吸収フラックスは、北大西洋振動(NAO)の位相によって変動するらしい。

Geochemistry Geophysics Geosystems (G3)
Journal of Geophysical Research - Atmosphere
Journal of Geophysical Research - Biogeosciences
特になし

Geological Society of America Bulletin
新着なし

担当:山口保彦(D3)

新着論文紹介(ELSEVIER)

D1の坂下です。

先週、先々週と東工大で測定していたので、新着論文を紹介できませんでした。。。
先週のELSEVIERの分をアップしておきますのでご確認ください。


Geochimica et Cosmochimica Acta, Vol. 90, 2012
Thermodynamic limitations on microbially catalyzed reaction rates
Douglas E. LaRowe, Andrew W. Dale, Jan P. Amend, Philippe Van Cappellen

Improvement of the determination of element concentrations in quartz-hosted fluid inclusions by LA-ICP-MS and Pitzer thermodynamic modeling of ice melting temperature
Mathieu Leisen, Jean Dubessy, , Marie-Christine Boiron, Philippe Lach

What can paired measurements of Th isotope activity and particle concentration tell us about particle cycling in the ocean?
Olivier Marchal, , Phoebe J. Lam

Earth and Planetary Science Letters, Vol.s 337-338, 2012
Temporal variations in lake water temperature: Paleoenvironmental implications of lake carbonate δ18O and temperature records
Michael T. Hren, Nathan D. Sheldon

A new model of cosmogenic production of radiocarbon 14C in the atmosphere
Gennady A. Kovaltsov, Alexander Mishev, Ilya G. Usoskin

Displacement along the Karakoram fault, NW Himalaya, estimated from LA-ICP-MS U–Pb dating of offset geologic markers
Shifeng Wang, Chao Wang, Richard J. Phillips, Michael A. Murphy, Xiaomin Fang, Yahui Yue

Miocene to recent ice elevation variations from the interior of the West Antarctic ice sheet: Constraints from geologic observations, cosmogenic nuclides and ice sheet modeling
Sujoy Mukhopadhyay, Robert P. Ackert, Allen E. Pope, David Pollard, Robert M. DeConto

Quaternary International, Vol. 268, 2012
Peat Stratigraphyと気候変動の特集

Quaternary International, Vol. 269, 2012
特になし

7/22/2012

新着論文紹介 This Week’s New Papers (2012/7/24) ELSEVIER


Quaternary Science Reviews
Volume 47, Pages 1-160 (30 July 2012)

1. Timing of the most recent Neoglacial advance and retreat in the South Shetland Islands, Antarctic Peninsula: insights from raised beaches and Holocene uplift rates
Alexander R. Simms, Erik R. Ivins, Regina DeWitt, Peter Kouremenos, Lauren M. Simkins
Volume 47, 30 July 2012, Pages 41–55
doi:10.1016/j.quascirev.2012.05.013
→西南極の半島部における氷河の変動について。最近の氷床拡大の時期は1500-1700ADで、北半球のLittle Ice Ageと一致することをモレーンの年代測定から示した。また、氷床拡大は隆起速度にも変化を及ぼしていた。

2. Quaternary glaciation of the Tashkurgan Valley, Southeast Pamir
Lewis A. Owen, Jie Chen, Kathyrn A. Hedrick, Marc W. Caffee, Alexander C. Robinson, Lindsay M. Schoenbohm, Zhaode Yuan, Wenqiao Li, Daniel B. Imrecke, Jinfeng Liu
doi:10.1016/j.quascirev.2012.04.027
→南東パミールで、73個の10Be年代測定により、4つの氷期を規定した。この地域の氷河は北半球の気候変動に強く影響を受けていることが明らかになった。

3. On the duration of West Antarctic Ice Sheet grounding events in Ross Sea during the Quaternary
Philip J. Bart, Boluwatife Owolana
doi:10.1016/j.quascirev.2012.04.023
→南極のロス棚氷の下のくさび状の堆積物について、MWP1A以降(例えば11ky BPなど)の氷床後退時に形成されたという説が通説だが、氷床前進時に形成されたとしても不自然ではなく、両方の仮説を検証する必要がある。

4. Cosmogenic nuclide age constraints on Middle Stone Age lithics from Niassa, Mozambique
Julio Mercader, John C. Gosse, Tim Bennett, Alan J. Hidy, Dylan H. Rood
doi:10.1016/j.quascirev.2012.05.018
→東アフリカの隆起帯の岩石を用いて、10Be26Aldepth profileを作成し、Monte Carlo-based Bayesian modelを用いることで年代測定を行った。この手法は革新的なものであり、かつ他の地域にも適用可能な手法である。

5. A wiggle-match age for the Millennium eruption of Tianchi Volcano at Changbaishan, Northeastern China
Jinhui Yin, A.J. Timothy Jull, George S. Burr, Yonggang Zheng
→中国と北朝鮮の間にあるThe Tianchi Volcanoという火山の噴火年代を調べるため、木の年輪の14C年代を82個測定し、wiggle-matchingを行った。

Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology
Volume 348-349, Pages 1-74 (1 September 2012)
6. Evaluating the integrity of C and O isotopes in sub-fossil wood from boreal lakes
Martine M. Savard, Christian Bégin, Joëlle Marion, Dominique Arseneault, Yves Bégin
doi:10.1016/j.palaeo.2012.06.003
→カナダの湖から得た化石の木からセルロースとリグニンを抽出し、安定同位体比の測定を行った。保存が良い部分と続成を少ししか受けていない部分は信頼性の高い値が得られた。続成の激しい部分の値は信頼性が低いが、SEMを用いて容易にサンプルの選択ができるため、この手法は北方の広い地域に適用可能である。

7月17日 新着論文紹介 (Nature, Science & PNAS)

New Papers & Articles Published from 07/09/2012 to 07/16/2012


Nature (Books and Arts) Volume 487 (07/12/2012)
(1) Depth Charge
doi:10.1038/487167a
Hali Felt

This is the story about the pioneering woman scientist, Marie Tharp, who created the underwater topography map. In the 1940’s, things were more tough for a woman scientist!

Nature (Letters)
(2) Deglacial sea level rises caused by ice sheet saddle collapses
doi:10.1038/nature11257
Lauren, J. Gregorie, Antony, J. Payne & Paul, J. Valdes

*Melt water pulse 1A (MWP-1A) seemed to be caused by the separation of Laurentide and Cordilleran ice sheets around 14,000 years ago. Also, another 8,200 event could be from the separation of Labrador and Baffin ice dome.

Science (NewsFocus) Volume 337 (07/13/2012)
(3) Rising acidity brings an ocean of trouble
doi: 10.1126/science.337.6091.146
Robert, F. Service

*Ocean acidification caused the death of oyster larvae on the West coast of the U.S. This happened because the surface water was undersaturated for aragonite build up

Science (Reports)
(4) A reduced organic carbon component in Martian basalts
A. Steele et al.
doi: 10.1126/science.1220715

*11 Martian meteorites were analyzed to investigate the carbon cycles in Mars. This paper researched the origin of reduced carbon by the method called Raman Spectra. The samples seemed to be indigenous to Martian interior.

(5) Ice volume and sea level during last interglacial
A. Dutton and K. Lambeck.
doi: 0.1126/science.1205749

*Interglacial coral samples from 17 sites in the world were analyzed, and the authors concluded that the sea level was 5.5 to 9 m higher during last interglacial. This sea level rise seemed to be caused mainly by ice sheets melting, not radiation changes.

(6) Rapid progression of ocean acidification in the California current system.
Nicholas Gruber et al.
doi: 10.1126/science.1216773

* Eddy-resolving model revealed that California current systems are already low in carbornates, and by 2050 the saturation level of aragonite would drop to below 1 in most of the water.

PNAS Volume 109 (07/10/2012)

(7) Very high-temperature impact melt products as evidence for cosmic airbursts and impacts 12,900 years ago
Ted E. Buncha et al
doi: 10.1073/pnas.1204453109

*This paper confirmed the previous hypothesis: meteorite fragments deposited silica and iron rich macrospherules and caused Younger Dryas. The authors detected the evidences at 18 sites over 3 continents, and they were similar to the known cosmic impacts from 1945.

(8) Younger Dryas cooling and Greenland climate response to CO2
Zhengyu Liua et al.
doi:10.1073/pnas.1202183109

*The authors challenged the previous suggestion: Younger Dryas was as cool as Older Dryas. Their model showed Younger Dryas was 5℃ warmer than Older Dryas in response to CO2 rise.

7/16/2012

琵琶湖、水月湖、京都大学

D3の山口保彦です。琵琶湖畔で開催されたASLO参加報告の続きです。

琵琶湖は、生態系や生物地球化学プロセスなどが湖沼学においてよく研究されていて、今回のASLOでも多くの研究発表がありました。一方で古気候学にとっても、琵琶湖堆積物は重要な役割を果たしてきました。実際に横山研でも、卒業生の高橋さんなどが無機元素組成や10Beなどを分析して、最終氷期以降の東アジアモンスーンなど古気候復元を行っていました。

しかし湖畔から見ただけでは、湖全体のイメージがよくつかめないので、学会終了後、すぐ近くの比叡山に(バスで)登って、上から見てきました(下写真)。これでごく一部なので、やっぱり大きいですね~。

比叡山からみた琵琶湖の南湖。ASLO会場のびわ湖ホールも見えます(右奥の白い建物)。

そしてさらに、琵琶湖から少し北上して、やはり古気候学的に非常に重要なサイトである、福井県の水月湖にも行ってきました! ALSOの前の週に東大地惑で、中川毅さん(ニューキャッスル大学教授)の集中講義があり、まさに水月湖古気候学の話をたっぷりと勉強できたので、やはり実地を見ておきたいと。

2006年に掘削された水月湖堆積物試料は、横山研でも、卒業生の池田さん、元PDのJonさんが、研究に使いました。そして今、東大地惑の多田さんらによる水月湖堆積物再々掘削プロジェクトもまさにちょうど始まったところです。(参照:多田・高橋研究室メンバー日記

水月湖。中央やや右に掘削フロートがなんとか見えます。
掘削された堆積物コアを処理する、多田・高橋研の皆さん


また、京都大学も訪問して、宇宙地球化学講座D3の横山さんに、ラボを案内してもらいました。フェムト秒レーザーアブレーション、MC-ICP-MS、ICP-SF-MSなどなど、最新鋭の分析機器!

京大地惑の建物
宇宙地球化学講座のMC-ICP-MS

というわけで、学会はもちろん、様々な訪問でも内容充実の1週間でした!

7/15/2012

2012 ASLO Aquatic Science Meeting (Lake Biwa, Japan)

D3の山口保彦です。
7/8-13の日程で滋賀県大津で開催された、2012 ASLO Aquatic Science Meetingに参加してきました!
証拠写真
ASLO (Association for the Science of Limnology and Oceanography) は、陸水学・海洋学の国際学会で、今回はアジアで初めての開催とのこと。世界各国から約2000人の研究者・学生が参加して、最先端の研究発表や議論が活発に行われていました。


横山研からは、PDのChristelleさんも参加。ほか、大気海洋研究所からは、微生物分野や生元素動態分野などから多くの人が参加していました。


学会会場は琵琶湖のほとりで(比較的)涼しかったです

開会式では、太鼓演奏からの鏡開き!

ポスター発表会場


山口は、"New Frontiers of Isotope Tools for Biogeochemistry, Ecology and Environmental Sciences" というセッションで、堆積物アミノ酸窒素同位体組成の話を口頭発表してきました。セッション編成の都合で時間が余っていたため、質問やコメントがエンドレスで飛んできて、ひえーという感じでしたが、その分、参考になる話を色々と聞けたので、データ解釈に今後活かしたいと思います。その他、様々な人と最新のデータをもとに議論でき、個人的には大収穫の学会でした。


Christelleさんは、海洋酸性化と有孔虫殻微量元素組成変動の話を、ポスター発表していました。


また、ASLO参加のついでに、近傍をいくつか訪問してきたので、それは次の記事にて。

7/14/2012

新着論文紹介 Nature, Science etc... 2012.07.09


Nature
Volume 487 Number 7405 pp5-134

[Research Highlights]
1.     Lopsided warming north to south
doi:10.1038/487009d
→大陸と海洋の割合の違いから北半球は南半球より暖まりやすい.気候モデルからもうまく再現できた.詳しくはGeophys. Res. Lett. http://dx.doi. org/10.1029/2012GL052116 (2012)を参照.

[Letters]
2.     The diet of Australopithecus sediba
Amanda G. Henry, Peter S. Ungar, Benjamin H. Passey, Matt Sponheimer, Lloyd Rossouw, Marion Bamford, Paul Sandberg, Darryl J. de Ruiter & Lee Berger
doi:10.1038/nature11185
Australopithecus sedibaの食性に関して.δ13Cの値からAustralopithecus sedibaC3植物を主に食べていた.この結果は同時期の他のヒト族の食性とは異なる結果である.

Science
VOL 337, ISSUE 6090, PAGES 1-124

[Perspective]
3.     The Seasonal Smorgasbord of the Seas
Adrian Martin
DOI: 10.1126/science.1223881
Eddy-Driven Stratification Initiates North Atlantic Spring Phytoplankton Bloomsのレビュー論文

[Research Highlights]
4.     Eddy-Driven Stratification Initiates North Atlantic Spring Phytoplankton Blooms
Amala Mahadevan, Eric D’Asaro, Craig Lee, and Mary Jane Perry
DOI: 10.1126/science.1218740
→炭素の固定と海洋表層での炭素の輸送に重要なプランクトンの発生について.大発生の原因は季節的な日射量の変動と表層近くの密度の変化によるものであり、観測結果とモデリングから北大西洋では南北の密度の変化が成層化とプランクトンの大発生を引き起こしていることが示唆された.

[Reports]
5.     Large Volcanic Aerosol Load in the Stratosphere Linked to Asian Monsoon Transport
Adam E. Bourassa, Alan Robock, William J. Randel, Terry Deshler, Landon A. Rieger, Nicholas D. Lloyd, E. J. (Ted) Llewellyn, and Douglas A. Degenstein
DOI: 10.1126/science.1219371

6.     ENSO Drove 2500-Year Collapse of Eastern Pacific Coral Reefs
Lauren T. Toth, Richard B. Aronson, Steven V. Vollmer, Jennifer W. Hobbs, Dunia H. Urrego, Hai Cheng, Ian C. Enochs, David J. Combosch, Robert van Woesik, and Ian G. Macintyre
DOI: 10.1126/science.1221168
→パナマの珊瑚礁から、東太平洋熱帯域の珊瑚礁は約4100年前から1700年前まで生育しなかった.この1000年スケールの変化はENSOITCZが関与している.

Nature Communication / Geology / Nature geoscience / PNAS
今週は新着なし