7/31/2009

新着論文紹介 (2009/7/28)Nature,Science,PNAS

Nature

Volume 460 Number 7254


Asymmetric auroral intensities in the Earth's Northern and Southern hemispheres

K. M. Laundal & N. Østgaard

doi:10.1038/nature08153


⇒荷電粒子が両半球を結びつける磁力線に沿って進むため、今まで北半球と南半球におけるオーロラは対称性を持つと考えられていた。しかし、今回北半球と南半球でオーロラの強度が非対称であることが観測された。


Formation of evenly spaced ridges and valleys

J. Taylor Perron, James W. Kirchner & William E. Dietrich

doi:10.1038/nature08174


等間隔で並んだ尾根と谷の形成が定量的に説明された。質量保存と堆積輸送の方程式から導き出される、ある長さスケールが地形進化の数値モデルに現れる谷の間隔、および5か所の野外調査地点で測定された谷の間隔と正比例していることがわかった。


Light limitation of nutrient-poor lake ecosystems

Jan Karlsson, Pär Byström, Jenny Ask, Per Ask, Lennart Persson & Mats Jansson

doi:10.1038/nature08179


⇒バイオマス量によって定義される湖沼生態系の生産性は栄養によって制限されていると考えられていた。しかし今回、貧栄養ないくつかの湖沼の比較から、光がより重要な制限要素であることがわかった。



Science

24 July 2009

Vol 325, Issue 5939, Pages 357-504


Observational and Model Evidence for Positive Low-Level Cloud Feedback

Amy C. Clement, Robert Burgman, and Joel R. Norris
Science 24 July 2009: 460-464.


⇒気候に対する低層雲の影響は、地球全体の気候変動に関する信頼性の高い予測方法を確立するうえで、最も大きな障害になっているもののひとつである。今回、主要な気候モデルを試した結果、実際に低層雲が十年スケールで正のフィードバック効果(温暖化が低層雲を減少させれば太陽放射はもっと増え、温暖化を加速させる)を示していることを発見した。



PNAS

July 21, 2009; 106 (29)


Geology

Jussi T. Eronen, Majid Mirzaie Ataabadi, Arne Micheels, Aleksis Karme, Raymond L. Bernor, and Mikael Fortelius

Distribution history and climatic controls of the Late Miocene Pikermian chronofauna

PNAS 2009 106:11867-11871; published online before print July 1, 2009, doi:10.1073/pnas.0902598106


中新生の動物相に関する話。今まで、気候との関連に関してはあまり理解されていていなかったが、Pikermian fossil mammal 長冠歯の分布を過去の降水量のプロキシとして用いて、環境変動との関連を調べた。


Geophysics

Ryan C. Moffet and Kimberly A. Prather

In-situ measurements of the mixing state and optical properties of soot with implications for radiative forcing estimates

PNAS 2009 106:11872-11877; published online before print July 6, 2009, doi:10.1073/pnas.0900040106


→煤煙のエアロゾルの話。煤煙が地球の温暖化に対してどれだけの影響を与えるかと言うことに関しては、不確定な部分が大きい。そこでこの論文では、煤煙粒子の各サイズでの混合状態、光学的性質、消失時間について現地測定を行った。これによって、気候への影響の最も大きい不確定要素を克服することができた。