5/05/2012

気象研訪問〜いま、分光法がアツい!〜

D1窪田です。

先日、つくばにある気象研の石井雄男様の研究室にお邪魔致しました。
産総研の鈴木様、横山先生、数名の学生で訪問させていただきました。

石井様は太平洋の特に赤道西太平洋紀伊半島沖において海洋観測による海洋酸性化のモニタリングを行っている方です。

初めに
私が「炭酸塩のホウ素同位体を用いたpH復元の試み
石井様が「気象研の海洋酸性化の取り組みと酸性化の現状
に関するプレゼンを行い、その後様々な議論を交わしました。

またその後、実験室にて実際に海水のpHを測定する方法を実演していただきました!

アルカリ度を測定する機器には「7研行き」という白鳳丸乗船者には馴染み深いラベルが貼られていましたw

海洋無機化学実験室にて海水のpHを測定する方法を教わりました。

m-cresol purpleという指示薬(pH~8前後で敏感に色が変わる)を使って分光法によって海水のpHを測定します。従来の電極を用いる方法よりも簡便、高精度だそうです。

ホウ素同位体を用いたpH復元はこれまで測定精度が十分でなく、観測されたpHと比較することが困難なレベルでしたが、Ishikawa & Nagaishi (2011)による方法では世界で最も高精度にホウ素同位体を測定することができます。
これはpHに換算するとおよそ±0.01という精度です。海洋観測のpH測定の場合はこれより一桁良い精度で測定を行うことが出来ますが、海水のpHの自然変動が大きいため、十分な精度です。

海洋観測は40年ほどの歴史ですが、熱帯に棲息するサンゴは最高で400年程度のpHの記録を保存している可能性があります。
今後、気象研の方とも共同研究を行い、太平洋の少し長い時間スケールでのpHの復元へと発展しそうです!


非常に実りのある訪問でした。

横山研で馴染み深い放射性炭素についても分光法によって測定できる手法が最近開発されるなど、「分光法」がアツい時代です!→詳細は窪田ブログにて