7/30/2012

新着論文紹介 This Week’s New Papers (2012/7/31) AGU, EGU

☆AGU★ (23 July 2012 - 29 July 2012)

○G3
特になし

○GRL
Bio-physical coupling and ocean dynamics in the central equatorial Indian Ocean during 2006 Indian Ocean Dipole
Prasanna Kumar, S., T. Divya David, P. Byju, J. Narvekar, K. Yoneyama, N. Nakatani, A. Ishida, T. Horii, Y. Masumoto, and K. Mizuno

Punctuated global tropical cyclone activity over the past 5,000 years
Nott, J., and A. Forsyth
北半球の各地域において残っているoverwashから過去5,000年間の台風の頻度を復元。3,000-5,000年前にかけて全球的に頻度が上昇していた。また100年-1,000年の周期で盛衰を繰り返していた。

Sensitivity of peatland carbon loss to organic matter quality
Leifeld, J., M. Steffens, and A. Galego-Sala
泥炭地には大量の有機物が眠っており、水収支の変化や気候変動によってこれらの有機物が失われることが危惧されている。泥炭地では分解されやすい有機物が先に分解され、逆に分解されにくいものが後に残るため、深度方向に有機物の質が変化する。特に酸素に富んだ表層に泥炭地の深部の有機物が触れると分解が促進される。スイスの6カ所の泥炭地で4mほどの堆積物コアを採取し、有機物量や元素組成などを分析。泥炭地の土壌呼吸は泥炭の質と多糖類の量によってコントロールされているらしい。

Sea surface temperature variability in southern Okinawa Trough during last 2700 years
Wu, W., W. Tan, L. Zhou, H. Yang, and Y. Xu

Extratropical modulation on Asian summer monsoon at precessional bands
Wang, Y., Z. Jian, and P. Zhao

Regional biases in absolute sea-level estimates from tide gauge data due to residual unmodeled vertical land movement
King, M. A., M. Keshin, P. L. Whitehouse, I. D. Thomas, G. Milne, and R. E. M. Riva

Impacts of non-canonical El Niño patterns on Atlantic hurricane activity
Larson, S., S.-K. Lee, C. Wang, E.-S. Chung, and D. Enfield
通常と異なるエルニーニョ(El Niño Modoki, positive phase Trans-Niño, and positive phase Pacific meridional mode)が大西洋の台風発生域の風の鉛直シアに与える影響を評価。通常のエルニーニョは大西洋の台風の活動度を抑える効果があるが、逆に通常と異なるエルニーニョはあまり大西洋には影響しないことが分かった。台風の成長には対流圏の加熱が必要であるが、それほど大きな加熱は起こせないらしい。近年通常と異なるエルニーニョの出現頻度が上昇しており、この傾向が続けばエルニーニョによる台風の抑制効果が失われ、大西洋の台風発生域のSSTがより重要な台風の発生要因になると考えられる。

Evidence for El Niño–Southern Oscillation (ENSO) influence on Arctic CO interannual variability through biomass burning emissions
Monks, S. A., S. R. Arnold, and M. P. Chipperfield
北極域の一酸化炭素の年変動をもたらすメカニズムを明らかにするために、化学輸送モデルを用いてシミュレーションを行ったところ、バイオマスの燃焼が最も支配的な駆動力であることが分かった。また一酸化炭素の変動はENSOとも有為に相関しており、火災の発生頻度にENSOが影響していることが原因として考えられる。アラスカ、カナダ、シベリア北東部が主なソースとなっているらしい。ENSOがこれらの地域の冬と春の降水量に影響していると考えられる。

The effect and correction of aerosol forward scattering on retrieval of aerosol optical depth from Sun photometer measurements
Zhao, F., Y. Tan, Z. Li, and C. Gai
エアロゾルの光学的な厚さを測定するために太陽光度計が用いられている。大気の前方散乱の影響を調べたところ、ほとんどの場合無視できる程度の寄与であることが分かった。しかし、ダストが多い際には光学的厚さの見積もりは大きく変化してしまい、補正をする必要がある。

○JGR-Oceans
Hypoxia in the Lower St. Lawrence Estuary: How physics controls spatial patterns
Lefort, S., Y. Gratton, A. Mucci, I. Dadou, and D. Gilbert

Response of the equatorial basin-wide SST to non-breaking surface wave-induced mixing in a climate model: An amendment to tropical bias
Song, Z., F. Qiao, and Y. Song

The Makassar Strait throughflow and its jet
Mayer, B., and P. E. Damm

Abnormal upwelling and chlorophyll-a concentration off South Vietnam in summer 2007
Liu, X., J. Wang, X. Cheng, and Y. Du


○Paleoceanography
Response of the North American monsoon to regional changes in ocean surface temperature
Barron, J. A., S. E. Metcalfe, and J. A. Addison
先行研究のモデルシミュレーションと間接指標の記録から、8ka頃から北アメリカモンスーンが7−9月に起きることが知られており、原因は北半球の日射量の変化であると考えられている。カリフォルニア沖で採取された堆積物コアから復元されたSSTは8ka頃までは低く、湿度を北アメリカモンスーン地域にもたらすほどの影響力を持っていなかった。またバハ・カリフォルニアの湧昇は7.5ka頃から強化されており、この頃から気候レジームが変化したことを示唆している。アメリカ南西部の降水の指標(湖、植生・花粉、鍾乳石)はこの仮説を支持している。

○Global Biogeochemical Cycles
CO2 semiannual oscillation in the middle troposphere and at the surface
Jiang, X., M. T. Chahine, Q. Li, M. Liang, E. T. Olsen, L. L. Chen, J. Wang, and Y. L. Yung
対流圏中層と表層において二酸化炭素濃度の準-年変動が見られた。化学輸送モデルを用いて変動の要因を調べたところ、表層の二酸化炭素濃度がシグナルの原因で、生物圏と大気との二酸化炭素交換が大元の原因であることが分かった。モデルによるシミュレーション結果と航空観測によって得られた熱帯域の対流圏中層の二酸化炭素濃度とは良い一致を見せた。

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☆EGU★ (23 July 2012 - 29 July 2012)
○Climate of the Past
Tightened constraints on the time-lag between Antarctic temperature and CO2 during the last deglaciation
J. B. Pedro, S. O. Rasmussen, and T. D. van Ommen
南極アイスコアは南極の気温と大気中の二酸化炭素濃度が氷期間氷期サイクルのうち少なくとも過去80万年間は非常に良く相関していることを明瞭に示している。この関係に関与している物理プロセスを理解するために、両者の時間的な差異を明らかにすることが重要である。最終退氷期には南極の気温が10℃、二酸化炭素濃度が80ppm上昇している。非常に高精度に年代決定がなされている5つの沿岸に近い地域のアイスコアと2つのアイスコアから、二酸化炭素濃度の上昇は南極の気温上昇に対して少なくとも’400年’遅れていることを示す。ただし、二酸化炭素が先行している可能性も否定しきれない。1,000年程度の遅れを認めていた先行研究に比べて、より遅れが少ないことが分かった。

○Biogeosciences
Role of sediment denitrification in water column oxygen dynamics: comparison of the North American East and West Coasts
L. Bianucci, K. Fennel, and K. L. Denman
人為起源・自然起源の貧酸素状態は生態系に大きく影響し、海水中の酸素濃度のダイナミクスを理解することは重要である。物理・生物モデルシミュレーションを用いて大陸棚において堆積物の脱窒が低層水の酸素濃度に与える影響を評価。堆積物中の脱窒に伴い、生物が利用可能な窒素濃度の低下が生じ、一次生産は低下する。一次生産の低下と海底への有機物の堆積が減少すると堆積物中の酸素消費が抑えられ、低層水の酸素濃度は上昇する。しかしバンクーバー大陸棚においては夏の湧昇が効果的に新しい栄養塩をもたらすため、この大陸棚においては脱窒が一次生産に与える影響はそれほど大きくない。大陸棚の酸素ダイナミクスに着目したモデル実験では堆積物中の脱窒をモデルに組み込むことを推奨する。

High-resolution mapping of forest carbon stocks in the Colombian Amazon
G. P. Asner, J. K. Clark, J. Mascaro, G. A. Galindo García, K. D. Chadwick, D. A. Navarrete Encinales, G. Paez-Acosta, E. Cabrera Montenegro, T. Kennedy-Bowdoin, Á. Duque, A. Balaji, P. von Hildebrand, L. Maatoug, J. F. Phillips Bernal, A. P. Yepes Quintero, D. E. Knapp, M. C. García Dávila, J. Jacobson, and M. F. Ordóñez

A high-resolution record of carbon accumulation rates during boreal peatland initiation
I. F. Pendea and G. L. Chmura
北半球の泥炭地は炭素の吸収源として機能しており、気候に対してフィードバックを持っていると考えられる。10-7kaの二酸化炭素濃度の低下は温暖な気候に依って生物生産が増加した結果、泥炭地の炭素集積が増加したために生じたとも考えられている。他にも湖の形成や海岸の露出によって泥炭地の面積そのものが増加したことも寄与していた可能性がある。ケベックのJames湾は氷期の氷床解放後のリバウンドによって隆起している。ここ70年間にsalt marshから沼へと変化した地域の堆積物コアから非常に高時間解像度の記録を得、10年スケールの変動を復元した。炭素の埋没速度は非常に大きく、通常の泥炭地の6倍程度であった。Holocene初期の氷床解放リバウンドによって新しくできた泥炭地が部分的に二酸化炭素のフラックスに寄与していた可能性がある。将来の海水準上昇によってこの湿地面積の増加が抑制されることで、炭素固定能力は低下するかもしれない。

New insights on the role of organic speciation in the biogeochemical cycle of dissolved cobalt in the southeastern Atlantic and the Southern Ocean
J. Bown, M. Boye, and D. M. Nelson

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☆GSA★
○GSA Bulletin
今回は発行なし